陶器は見事に京料理と調和する器
食べる人に料理を心から味わってほしいと願うのならば、味や食材だけでなく、見た目にもこだわりを持つことです。料理の彩はもちろんのこと、完成した料理を盛り付ける器にも気を配ることで、それを食べる人により一層の満足感と充足感を与えることができます。
京料理の場合ですと、静かな風合いの中に確かな主張も感じられる陶器に盛り付けることで、見た目をさらに満足のいくものに仕上げることができます。シンプルで決して強く主張することのない京料理自体の見た目と、風情の感じられる陶器の見た目とが絶妙に調和しあい、素晴らしさを増長させます。
陶器に近いものとしては磁器も存在しますが、磁器は陶器よりも透明感のある白さが際立つ器なので、シンプルな見た目の京料理と合わせると、少し冷たい印象になってしまいます。一方の陶器はというと、粘土で作られているため白いものでも透き通った透明感はなく、どちらかというとしっかりとした印象のまろやかで温かみのある白さとなります。色がついていたとしても表面の質感が粗いので一つ一つに異なるムラがあり、独特な存在感を放ちます。その独特な存在感がシンプルな京料理と見事なまでの調和を果たすというわけです。